パートナーの不倫がわかったとき、「慰謝料ふんだくって離婚してやる!」「パートナーと不倫相手を絶対に別れさせる」というように、強気で立ち向かっていける人はきっとそう多くはないはず。
大半の人は「裏切られた」「もう女(男)として見られていないのかな…」と、多少なりとも精神的に傷つくのではないでしょうか。
中にはうつ病・うつ状態の手前まで追い込まれてしまう人もいるでしょう。
今回は、パートナーの不倫が原因でうつになった場合、治療費や損害賠償を請求できるのかについて解説していきます!
治療費の別途請求は難しいが慰謝料増額の可能性あり!
パートナーが不倫をしていると知ったら、どんな人でも多少はショックを受けますよね。
とくに「この人は絶対に裏切ることはないだろう」「こんなにいいお父さん(お母さん)なんだし」といった、一種の期待のような信頼を抱いていたらなおさら。
精神的に大きなショックを受けたり、または不倫相手から嫌がらせを受けたりしたことが原因で、うつ状態になってしまうことも考えられます。
ひどい場合は日常生活もままならない、仕事も行けない状態になることもあるでしょう。
不倫をされていた側からしたら、慰謝料とは別に治療費も請求したいくらいですが、結論から言って、治療費を別途請求するのは難しいとされています。
しかしそこであきらめてはいけません!治療費を別に請求することは難しくても、慰謝料が増額される可能性はあります。
話し合いや裁判などにおいても、うつを治療するための医療費がかかっている、仕事を休まざるを得なくなって経済的にも損害を受けているといったことを主張する意味は十分にあるのです。
不倫が原因のうつで治療費や損害賠償請求が難しい理由
不倫が原因でうつになったのに、治療費を別途請求できない理由としては、不倫とうつの因果関係を証明するのが難しいことが挙げられます。
過去の判例で、慰謝料とは別に治療費や仕事を休んでいた間の損害賠償が認められた事例もわずかには存在します。
しかし、ほとんどの場合はうつ状態になったことや休職の事実があることを含めて、慰謝料の金額を算出するようです。
発症の原因は正確にはよくわかっていませんが、感情や意欲を司る脳の働きに何らかの不調が生じているものと考えられています。うつ病の背景には、精神的ストレスや身体的ストレスなどが指摘されることが多いですが、辛い体験や悲しい出来事のみならず、結婚や進学、就職、引越しなどといった嬉しい出来事の後にも発症することがあります。なお、体の病気や内科治療薬が原因となってうつ状態が生じることもあるので注意が必要です。- 厚生労働省 みんなのメンタルヘルス うつ病
上記のとおり、うつ病の原因ははっきりしていません。
不倫の大きなショックがうつの引き金になったことは間違いないと思っていても、実際にはそれ以外の要素も関係している可能性があり、残念ながら「不倫が原因」とはっきりと証明するのは難しいのでしょう。
そのため、話し合いや裁判などで争われた場合でも、あくまでも慰謝料に含まれる形になるようです。
もちろん、あなたが「治療費が別で認められなくてもいい!とりあえず慰謝料がちゃんともらえるなら!」と考えているなら、これでも問題はないでしょう。
仕事に行けないことやうつ状態に苦しんでいることをしっかりと示して、慰謝料の上乗せを目指しましょう!
慰謝料増額のためには証拠集めが重要
不倫が原因のうつで慰謝料増額を目指すには、不倫の証拠を集めるのと同様、「精神的苦痛を受けた」ということを示す以下に挙げるような証拠が必要になります。
- 不倫の証拠
- 不倫相手からの嫌がらせの証拠(メールの文面や電話の音声など)
- 病院の診断書
精神的苦痛は、ケガと違って目に見えるものではありません。それだけに、周りにも「苦しんでいたんだね」と認めてもらえるような証拠が重要になるのです。
病院の診断書は比較的手に入りやすいだけでなく(2,000~5,000円ほど)、証拠としても強いため、うつの症状で病院を受診した際は発行してもらうようにしましょう。
あきらめずに専門家に相談してみよう
パートナーの不倫が原因でうつになった場合、治療費を慰謝料とは別に請求するのは残念ながら難しいです。しかし、精神的苦痛を受けていたという有力な証拠があれば、慰謝料増額が期待できます。
ただでさえ精神的に辛いのに、さらに自分で慰謝料請求の手続きを踏むのは大変なはず。より高額な慰謝料請求をするには、専門家に依頼したほうがスムーズでしょう。一度弁護士に相談してみることをおすすめします。