「自社の電気代を削減したいけれど、どう対策していけば良いかわからない」

「企業にかかる電気代の削減方法を具体的に知りたい」

と、頭を抱えていませんか?

資源エネルギー庁が実施した「平成30年度エネルギー消費統計」によると、企業のエネルギー消費量のうち約50%は電力で消費されています。

業種によってエネルギーの消費量は異なるものの、大きな割合を占める電力に注目して対策を打とうとしている担当者の方もいるのではないでしょうか。

そこで、企業で実践できる電気代を削減する8つの方法を解説します。

「自社の電気代を節約し、経費削減を目指したい」と考えている方は、効果的な取り組みにしていくためにぜひご一読ください。

今すぐ電気代削減の対策を始めたい方は、専門家の力を借りるのも方法の1つです。詳しい内容を知りたい方は以下をご覧ください。

企業の電気代を削減する8つの方法

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企業の電気代を削減する方法として、以下の8つを挙げてみました。

  • 【削減方法①】電気料金の計算方法を知る
  • 【削減方法②】現状を把握して電気の使い方を見直す
  • 【削減方法③】契約している電気プランを変更する
  • 【削減方法④】照明をLEDに切り替える
  • 【削減方法⑤】省エネタイプの設備を導入する
  • 【削減方法⑥】電力会社を切り替える
  • 【削減方法⑦】電力をコントロールするシステムを導入する
  • 【削減方法⑧】太陽光発電を導入して自社で発電する

それぞれの削減方法を見てみましょう。

【削減方法①】電気料金の計算方法を知る

企業の電気代を削減するには、まず電気料金の計算方法を知る必要があります。電気料金は以下の計算式によって月ごとに決定されます。

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計算式を見ると難しく感じるかもしれませんが、ここで覚えておきたいのは「契約電力が決まる仕組み」です。

契約電力は毎月使える電気量の上限を指します。契約電力が高くなるほど毎月に支払う電気代も高くなるのです。

中小店舗やオフィスなど、50~500kWの高圧電力を契約する場合は、最大デマンド値(最大需要電力)を基準として契約電力が決定されます。

■最大デマンド値とは?当月を含む直近12ヶ月間に使った電力の最大値。常に使用量のデータが蓄積され、30分ごとの平均使用電力によってデマンド値が決まります。
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たとえば、12ヶ月間で暖房を使った1月のデマンド値が最も高かった場合、このときの数値が契約電力を決める基準に。決定後は1年間に渡り、最も電気を使ったときの基準で高い基本料金を払い続けなければなりません。

つまり、毎月の最大デマンド値を抑えることが、企業における電気代削減のポイントとなります。コストをかけずにできる対策もありますので、従業員の協力も得ながら工夫していくことが大切です。

それでは、どのように対策して電気代を削減していったら良いか、具体的に見ていきましょう。

h3:【削減方法②】現状を把握して電気の使い方を見直す

電気の使い方を見直しするなら、空調や照明に着目してみましょう。なぜなら、資源エネルギー庁の統計によると、空調と照明にかかる消費電力が高いことがわかるからです。

たとえば、一般的なオフィスの夏期ピーク時における電力消費の内訳を見てみると、72%が空調と照明で消費されています。

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出典:経済産業省 夏期の節電メニュー

卸・小売店になるとOA機器ではなく、冷蔵庫やショーケースなどの消費電力が多くなりますが、それでも空調と照明で占める割合は大きいです。

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出典:経済産業省 夏期の節電メニュー

よって、空調や照明の使い方を見直して対策するだけで、コストを抑えられる可能性があります。

空調や照明の電気代削減対策としてできることを以下に挙げてみました。

  • 複数の空調は時間をずらして起動する

 ⇒消費電力量のピークが分散され、デマンド値上昇を抑えられる

  • エアコンのスイッチを入れる場所を工夫する

 ⇒全体を冷やすより、場所を限定したほうが省エネになる

  • 無駄に空調や照明がついていないか確認する

 ⇒残業中などに無駄な電気を消費している可能性も

特に夏場や冬場はエアコンが必須となるため、朝、出社した従業員がすべての空調・エアコンのスイッチを一気にオンにしてしまうことも。そうすると、デマンド値上昇の原因に繋がりかねません。

空調・エアコンが必要な場合は、時間帯をずらして起動するなどの工夫が効果的です。

また、広い部屋全体を冷やしたり暖めたりすると冷暖房効率が悪くなります。どこでエアコンを使う必要があるのかを考え、できるだけスイッチをオンにする場所は狭くしたほうが省エネです。

部屋の面積が広くて場所を限定できないときは、

  • 間仕切りを設置
  • 断熱用ビニールシートを使って空間を分ける
  • サーキュレーターなどで空気を循環させる

などの工夫が効果的です。

「日中は従業員が営業に出ていてほとんど不在」とか「残業時間に仕事をしている人は少数」といったときも注意が必要。オフィスに人がいないのに、すべての空調が動いていたら無駄に消費していることになります。

冷暖房効果はスイッチを切ったあともしばらく残っているので、仕事をしている人数に合わせて早めにオフにするのも対策の1つです。

まずは、始業前や残業中に大きく電力が消費されていないか確認するところから始めてみてください。

【削減方法③】契約している電気プランを変更する

電気プランの見直しは定期的にしていますか?ずいぶん前に契約して、そのままになっているなら、プランを変更するだけで電気代の削減ができる可能性があります。

もしかしたら、同じ電力会社の中でも新しいプランが出ているかもしれません。たとえば、時間帯別のプランに変更したり、契約種別を変更したりするだけで電気代が安くなる場合があります。

コストをかけずに対策できるため、自社の契約を確認したあと、ほかに最適な電気プランがないか電力会社に問い合わせてみると良いでしょう。

【削減方法④】照明をLEDに切り替える

広い面積のオフィスや工場、小売業・飲食店などは明るいLED照明に切り替えることをおすすめします。なぜなら、白熱電球や蛍光灯よりLEDは消費電力が少ないからです。

そのため、企業内の照明をLED化することは、電気代を削減する有効な手段になります。

LEDの照明は、寿命が長いことも特徴。1日10時間使ったとしても10年以上は使える計算になるため、買い替えるコストや交換する手間も削減可能です。

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こまめに不要な照明を消して節約するのも効果的ですが、従業員の節電意識の差によって徹底できないことも。そのようなときは、人感センサー付きのLED照明にすると、人のいないところで無駄に電気を消費する時間を減らせます。

場所や用途に合わせて、センサー付きのLED照明も検討してみてください。

【削減方法⑤】省エネタイプの設備を導入する

社内で使っている設備や機器を見直すのも方法の1つです。古い型の機器だと消費電力が高く、あまり省エネ効果がないものもあります。

そのため、使用している設備や機器を洗い出し、省エネタイプのものに切り替えると消費電力を減らせるのです。

実践できる対策として以下のことを挙げてみました。

  • 消費電力の小さいパソコンにする
  • コピー機やプリンターは複合機1台に統合させる
  • 社内のサーバーをクラウド化させる

LED照明ほどの大きな効果はないかもしれませんが、小さなことからコツコツと節電することも大切です。

【削減方法⑥】電力会社を切り替える

2000年から始まった電力自由化により、新しい電力会社が登場しています。

これまでは、東京電力や中部電力などと契約しなくてはならず、自由に電力会社を選べませんでした。しかし、電気の小売業への参入が全面自由化したことで、電力会社や料金プランを自由に選べるようになったのです。

そのため、企業の場合も現状の電力会社から新しい電力会社に乗り換えることで、コストをかけずに電気代の削減が見込めます。

新電力会社の料金が安いのは、大手電力会社のように電柱や電線などの設備が不要で、管理するための人件費がかからないからです。

どれくらい安くなるのかは電力会社によって異なるため、一度見積もりをしてみると比較検討しやすいでしょう。

すでに新電力に切り替えている場合でも、新しく参入してきた電力会社のほうが安くなることもあるかもしれません。

新電力から新電力への切り替えは可能ですが、違約金が発生するケースもあります。切り替えする前に、契約期間と違約金の確認はするようにしてください。

【削減方法⑦】電力をコントロールするシステムを導入する

最大デマンド値が企業の電気代を左右する重要な数値であることは前述のとおりです。ただ、デマンド値の把握・管理をすべて人の手でするのは、人的コストがかかってしまいます。

そこで、デマンド値の管理を楽にしてくれるのが「デマンドコントロールシステム」。最大デマンド値を上昇させないために、自動で監視・制御してくれます。

人的コストがかからない上に、管理者の判断ミスなどでデマンド値が上がってしまうことも防げるのです。

ただ、自動で監視から制御までするシステムのため、導入コストがかかるデメリットもあります。あまり導入コストをかけたくない企業や中小オフィス・店舗の場合は、設定した電力量を超えそうなときにアラートを鳴らす「デマンド監視」を検討してみてください。

システムを有効に使いながら、具体的な電力の使用状況を把握していくことで、さらなる省エネ対策も立てやすくなるでしょう。

【削減方法⑧】太陽光発電を導入して自社で発電する

太陽光パネルを設置して、自社で発電・消費する方法もあります。太陽光でつくられた電気を使うため、電力会社から購入していた電気代の削減が可能です。

発電した電気が余った場合は、電力会社に売電できるメリットがあります。さらに、蓄電池を併用して発電した電気を蓄えておくことで、夜間の電気代削減や停電時のリスク回避にも繋がります。

太陽光発電は自社の電気代を節約しながら、環境問題に取り組む企業としてイメージを高める効果も。太陽光発電を導入すれば、数多くのメリットを受け取れるでしょう。

ここまで企業が電気代を削減する方法を解説しました。しかし、「これらの対策をして、どれくらいコストを抑えられるのだろう?」と疑問を感じている人もいるのではないでしょうか。

そこで、実際に電気代の削減に成功した企業の事例を紹介します。自社で省エネ対策を行うイメージを膨らませるために、読み進めてみてください。

h2:電気代削減に成功した企業の事例

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数多くの省エネ対策を実践する企業がある中で、今回は以下の2社をピックアップしました。

  • 東急不動産株式会社

 ⇒照明をLED化し、毎月の消費電力量を15%削減

  • 株式会社カネナカ

 ⇒デマンド監視システムを導入後、年間で110万円電気代を削減

それぞれの事例の詳細を見てみましょう。

h3:東急不動産株式会社:照明をLED化

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東急不動産株式会社は、東急不動産ホールディングスの一員として、都市事業・住宅事業などを展開する総合不動産企業。

グループ全社でCO2排出量を5年間で5%削減する目標を掲げ、その取り組みの1つとして関西事業部が先行して社内の照明をLED化にしました。

執務スペースと会議室のベース照明として54台の直管LED照明を導入したことで、消費電力量が前年同月比で約15%も削減。さらに、デスク上の照度が1.3倍~1.5倍になり、オフィス内の快適性が高まったと従業員からも好評だそうです。

今後は他部署へ水平展開し、グループ全体でLED化に取り組むと見込んでいます。

株式会社カネナカ:デマンド監視システムの導入

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うなぎ加工品の製造・販売をしているのが株式会社カネナカです。

カネナカの繁忙期は、夏の「土用の丑」。春・秋・冬の電気代はそれほどかかりませんが、夏場に業務のピークを迎えることで、デマンド値が一気に上昇してしまう課題がありました。

そのため、年間を通して高い電気代を払わざるを得なかったそうです。

この課題を解消すべく、カネナカはデマンド監視システムを導入。

工場にあるエアコンのスイッチは事務所で集中管理し、従業員が勝手に操作できないようにしました。さらに、自動制御でエアコンのON・OFFをコントロールすることで、デマンド値の抑制に成功しています。

カネナカでは以下の効果を得られたそうです。

  • 導入前の契約電力は500kWだったものが、導入後1年で450kWまで引き下げ
  • 年間110万円の電力コスト削減
  • 導入費用150万円を1.3年で回収
  • 導入3年後には436kWまでデマンド値を抑えることに成功

このようにデマンド値を下げることで、導入前と比べて大幅に電気代の削減が実現しています。従業員の電気に対する省エネ意識も高まり、無駄遣いも減っているとのことです。

実際の事例から、照明のLED化やデマンドコントロールシステムの導入で効果があることがわかりました。しかし「自社にとって、どの対策をしたら効果を最大限に発揮するのかわからない」「対策をするために人的コストはかけられない」と感じている方もいるでしょう。

手間を省きながら最大限の効果を得るには、専門家に依頼するのがベストです。

まとめ:企業の固定費を下げるには電気代削減が有効

企業が実践できる電気代の削減方法を厳選して8つ解説しました。ここで対策できることを、もう一度おさらいしておきましょう。

  • 【削減方法①】電気料金の計算方法を知る
  • 【削減方法②】現状を把握して電気の使い方を見直す
  • 【削減方法③】契約している電気プランを変更する
  • 【削減方法④】照明をLEDに切り替える
  • 【削減方法⑤】省エネタイプの設備を導入する
  • 【削減方法⑥】電力会社を切り替える
  • 【削減方法⑦】電力をコントロールするシステムを導入する
  • 【削減方法⑧】太陽光発電を導入して自社で発電する

企業の電気代削減には、最大デマンド値の把握・管理が重要です。いつ、どこで電気代が多くかかっているのかを把握し、毎月のデマンド値を下げられるように対策しなくてはなりません。